インディー系アーティストのmehroとそのチームがファンベース拡大の武器にしているのは、mehroのすばらしい音楽、SNSでのエンゲージメント、そしてSpotify for ArtistsのDiscovery Modeツールです。
ロサンゼルスを拠点とするシンガーソングライター兼プロデューサーのmehroは、ファンの 心に訴える ような音楽を制作しています。人気上昇中で現在21歳のmehroがファーストシングル「perfume」をリリースしたのは2020年2月のことでした。アコースティックギターのメランコリーなリックと恋愛調の歌詞が響く切ない曲で、リリース以来Spotifyで1,000万回以上再生され、インディー界でまさにヒット曲と呼ぶにふさわしい人気を集めました。「perfume」の公開後、mehroは3つのシングルと2つのリミックスをリリースし、2021年3月にはデビュープロジェクトとなる「 SKY ON FIRE 」を発表しています。現在までに、同アルバムの再生数は2,300万回以上にのぼり、その収録曲のセーブ数やプレイリストへの追加数は110万を超えるまでになっています。
mehroの成功の背景には、巧みなマーケティングアプローチがあります。SNSやビデオコンテンツに加え、CanvasやアーティストプレイリストなどのSpotify for Artistsツールを使ってmehroの生まれ持ったチャーミングさを押し出したのです。さらにDiscovery Modeを活用し、既存のファンとのつながりを深めると同時に、新しいリスナーにもアプローチしています。
インスピレーションの源や音楽制作のきっかけについて尋ねたところ、mehroは淡々とこのように答えています。「僕は繊細な人間なんだ。自分のなかにありとあらゆる感情がうごめいていて、それを何らかの形で外に出さなきゃいけなかったからね」mehroがこれまで創り出してきた情緒豊かな音楽性は、彼の立ち居振る舞いにも溢れています。SNSでも、Zoomでファンと親しく会話しているときでも、そしてこの記事のインタビューをしているときでさえ、それが感じられます。穏やかで、内気でありながらも自信に満ち、そして何より自分らしく自然体なのです。
「mehroが曲中で伝えているストーリーは、多くの人に共通するものなのに、とてもパーソナルに感じるんです」とmehroのマネージャー、Danny Rukasinは話します。「mehroが自分の音楽やファンのコミュニティをどのように築いてきたかを見ると、周りの人を本当に大切に思っていることがわかります」mehroには、「自分と家族を養いながら、充実感やワクワク感を味わえる芸術を作りたい」という目標があります。ビリー・アイリッシュとFINNEASの共同マネージャーも務めるRukasinは、mehroとパートナーを組むことで、この目標の実現をサポートしています。
新進アーティストのニーズに精通しているRukasinとチームは、正直さとひたむきさにあふれるmehroの音楽をより多くのオーディエンスに届けるための戦略を立てました。これまでのリリースで、mehroの才能はファンにすでに伝わっていますが、Rukasinは、mehroにはまだ多くの引き出しがあると話します。今後さらに幅広い表現をしていくには、通常とは違うアプローチでファンベースを築く必要があるというのです。「mehroはたくさんの音楽を生み出しているだけでなく、その種類も多様なんです。そこで、1つの大きな作品に時間をかけて取り組むというより、コンスタントに音楽をリリースしていく計画を立てています。継続して音楽をリリースすることで、新しいファンにmehroの音楽をもっと聴いてもらい、その後も新曲を楽しみにしてもらえると考えたんです」
Spotify for Artistsのツールは、これまで成功を足掛かりに、SNSでのエンゲージメントをSpotifyでのファンエンゲージメントの構築に活かすという計画の要となりました。mehroは自分のプレイリスト「Stay Pure」で、自分の音楽だけでなく、自分の好きな音楽も紹介しています。このプレイリストはアーティストページのアーティストからのおすすめに表示され、自分の曲のほかにmehroのお気に入りのアーティストの曲もフィーチャーされています。「『Stay Pure』は、大好きな音楽や尊敬するアーティストを紹介できる貴重な場なんです」とmehroは話します。
また、「Stay Pure」はmehroが自分の好みの音楽を紹介する場になっただけでなく、ファンに制作活動に関わってもらう機会にもなりました。「『Stay Pure』がきっかけで、ファンにUGC (ユーザーが生成したコンテンツ) のクリエイティブを送ってもらう取り組みが始まり、最終的にはファンのアート作品を採用したカバー版も誕生しました」と、mehroのマーケティングマネージャー、Ryan Lassiは話します。「私たちは、mehroのInstagramを中心にコミュニティを築くだけでなく、Spotifyを中心としたコミュニティも作りたいと考えているんです」
音楽と同じくらい画像や映像も重視するmehroは、自分の音楽に合ったストーリーを視覚的にも伝えられるよう、Canvasを活用しています。「最初に公開したのは『perfume』のCanvasです。とてもmehroらしい、いつまでも愛されるようなすばらしいCanvasに仕上がりました」とLassiは話します。「それから『hideous』やほかのシングルについてもリリースに合わせてCanvasを作ったのですが、『 SKY ON FIRE 』プロジェクトに着手し始めたとき、『ファンがこれまでのリリースを聴き直すことがあるだろうから、今までのCanvasをリニューアルして、ファンに新しいものを届けようか』という話になったんです」
Discovery Modeは、mehroの人気を押し上げ、mehroのサウンドを気に入ってくれる可能性の高いリスナーにアピールするうえで大切なツールとなりました。Discovery Modeは初期テスト中の新しいツールで、オーディエンスが新しいコンテンツを積極的に探しているタイミングで、アーティストが自分の音楽のリーチを拡大できる機能です。「Spotifyはリスナーの興味を引く方法をよく知っています」とRukasinは話します。「Discovery Modeの話を聞いたとき、ニューリリースの制作段階である今のうちにぜひ使ってみたいと思いました。リリース予定の新しい音楽があるなら、リスナーに響く音楽を知る必要があります。それから、受動的に音楽を聴いているオーディエンスに新曲を積極的に聴いてもらえるよう集中してアプローチできます」
mehroのチームは8月に、ディストリビューターのDowntown Music Servicesを介して「perfume」と「chance with you」でDiscovery Modeをオンにしました。「まずは2曲から始めることにしました。ニューリリースまでの3週間に2曲をアピールして、リスナーを盛り上げようという戦略です」とRukasinは話します。結果は大成功と言えるものでした。mehroは以前からファンの心に響く音楽を制作し、クレバーな戦略でファンのエンゲージメントを維持していたため、すでに新規リスナーへのリーチを毎月達成していました。そのうえでDiscovery Modeを活用し、リーチをさらに拡大することで、ひと月の新規リスナー数は4倍になり、月間リスナー数は初めて100万人を超えたのですまた、Discovery Modeを使うことで「perfume」と「hideous」の両曲のCanvas再生数も50%以上増加しました。mehroの音楽が、世界中のファンの心に響いた証拠です。さらに、Discovery Modeにより、日本、スロバキア、ハンガリーなど以前はオーディエンスが少なかった15のマーケットで新たにファンにリーチすることもできました。「私たちは、皆にmehroの音楽を聴いてほしいんです。1度や2度聴いてくれさえすれば、きっとファンになって、もっと積極的に聴き続けてくれると信じているからね」とRukasinは話します。
mehroは、リスナー100万人の大台を達成したときの驚きをこのように振り返っています。「信じられなくて、言葉が出なかったよ。ずっと目標にしていたことだからね」mehroはこれらの目標達成を、アーティストとしての新たな始まりにすぎないと考えています。最新リリースからもわかるように、mehroのサウンドの幅はどんどん広がっています。「2つのシリーズの音楽を同時にリリースするんだ」と話すmehroの顔は、輝きに満ちています。「最初のリリースのタイトルは『coastline』で、『 Alchemy 』というシリーズの音楽なんだ。アルバムでもプロジェクトでも、EPでもなくて、シリーズなんだよ」とmehroは話します。これが、自身の音楽の幅広さをファンに知ってもらうために打ち出した斬新な戦略です。「2番目にリリースするのは『howling』で、これは『 Dark Corners 』というシリーズの曲だよ。いくつかのシリーズを並行して進めて、1曲ずつ順にリリースしていくことで、自分たちの引き出しの多さや、アーティストや人としての多面性を見せていく予定なんだ」