A&Rのプロがオーディエンスの特定と拡大について分析します。
アーティストであれば、ファンなしでは何も始まらないことをよく知っていることでしょう。しかし、ファンとは正確に何を指すのでしょうか?どうすればファンを理解し、ファンとつながれるでしょうか?Spotifyで最近公開された「Co.Lab Sessions」のポッドキャストでは、ワーナー・レコードのSVPでありA&Rを務めるEricka J. Coulterが、最初のファンを獲得し、本物のファンベースを拡大するために実行できる成功戦略について語っています。
Coulterが業界のプロであることに加え、アーティストをサポートしたいという熱い思いをもっていたことで、業界に変革が生じました。L.A.のアーティストを紹介するThe Basementが発足したのです。「大手のレーベルと契約しているアーティストでも絶え間ない努力が必要ですし、独立すれば自分で何でも決められる反面、さらに真摯な努力が求められるでしょう。The Basementは、アーティストが活動をサポートしてくれる人と出会える空間なんです」とCoulterは言います。
この記事では、Coulterがすすめる、オーディエンスを開拓するうえで意識すべき3つのポイントを紹介します。
「伝えたいメッセージは何?」
Coulterはこう言います。「ファンはアーティストをもっとリアルに感じたいのです。あなたがどんな人か、どこから来たのか、どうやってこの音楽に辿り着いて、どれほど熱中しているかを知りたいと思っています。あなたが何かを提案し続け、わたしが気に入るものがあれば応援するつもりです。一緒に取り組みます。そして、何か新しいことを試したり、別のことに挑戦したりするときにはサポートします。だから、何でもやってみてください。とことん付き合います」
まず、アーティストとして何を伝えたいのかを明確にすることが重要だとCoulterは言います。「リスナーがあなたのどんなところに共感してくれたらいいと思いますか?そうした思いが、音楽、ブランドへと反映されていき、ファンベース全体が構築されていくのです」
「外の世界に飛び出そう」
「今は自分のベッドルームでも、レコーディング、ミックス、マスターなど何でもできる時代です」とCoulterは説明します。「それは、すばらしいことです。でも、部屋にいるだけでは、見つけてもらえません」
「だから、自分から行動して売り込む必要があります。自分の音楽を聴いてほしい、自分ことを見つけてほしい、出会うべき人と出会いたい、The Basementで注目してほしいと思うのであれば、外の世界に飛び出すことが必要なのです。それに加え、ソーシャルメディアを活用することや、自分の音楽に打ち込むことも忘れないでください。やるべきことは、たくさんあります」
さらにCoulterは言っています。「いきなりステイプルズ・センターで演奏しなさいとは言っていません。小さなことから始めればよいのです。リサーチして、やってみることです。大学生であれば、まずはその大学で人気を獲得しましょう。それができないなら、申し訳ないけど、あなたには興味を持てません」
「楽曲を公開しよう」
Coulterはこう語ります。「わたしとマネージャーのところに来て『自分の音楽はとにかく良いんです』と言うアーティストがいます。でもそうしたアーティストに、公開している楽曲があるか尋ねると、『いいえ、契約が決まるまで待っています。それから公開して、その後あれこれするつもりです』と答えるんです。それは、最悪です。あなたの楽曲を公開してください。オーディエンスについて実際に知る必要があるのです。あなたの音楽を気に入らない人もいれば、大好きになる人もいるでしょう。パソコンの前に座っているだけでは何も知ることはできません」
Ericka J. Coulterが語る「Co.Lab Sessions」のフルエピソードをお聴きください。また、チームの構築、音楽環境の整備、キャリアの確保についてなど、さまざまな情報をほかの「Co.Lab Sessions」のポッドキャストエピソードでチェックできます。