Sub Pop Recordsに所属するビーチ・ハウスのチームは、全画面表示のレコメンド広告であるMarqueeを使い、アーティストのニューアルバムを宣伝しました。そして、そのハロー効果により、アーティストの作品全体の再生数を伸ばすことにも成功しました。
コンテンツが一旦拡散されると、それは世界中を駆け巡ります。しかしそれだけでは、本当の成功とは言えません。その人気を持続させる必要があるのです。そこで、Sub Pop Recordsの営業部長を務めるJon Stricklandと、高い評価を得ているインディーバンド、ビーチ・ハウスのチームに話を聞きました。2015年にビーチ・ハウスが「Space Song」で驚異的なバイラルヒットを遂げた後、Stricklandは、同バンドの8作目のスタジオアルバムとなる「Once Twice Melody」のリリースに際し、ユニークな機会に恵まれました。
2021年春、「Space Song」が、SNS上でドラマチックかつちょっと笑える悲劇を表現するサウンドとして人気を博したのです。「確か、最初の動画では誰かが泣いていたと思います」とStricklandは振り返ります。「シリアルか何かを用意するときにミルクをこぼしただけなのに、かなりオーバーなリアクションをしていたんです」)。「Space Song」を聴いてビーチ・ハウスに新たに興味をもったオーディエンスは、そのシュールなサウンドに好奇心をかき立てられ、もっと聴きたいと思っていました。「とても驚きました。たくさんの新しいファンを獲得できたのです」とStricklandは話します。「若年層のファンが多くいました。ビーチ・ハウスの音楽を聴いて気に入り、バンドについてもっと知りたいと思ってくれていたんです」
ビーチ・ハウスの最新アルバム「 Once Twice Melody 」の発表が近づくなか、Stricklandはバイラルヒットの勢いに乗って、ビーチ・ハウスの音楽の根強いファンを獲得したいと思っていました。そして、ニューリリースがそのきっかけになると考えたのです。18曲を収録した最新アルバムのリリースにあたり、同チームが選んだ戦略は、ウォーターフォール戦略です。アルバムを4つの章に分け、4ヶ月にわたってリリースする計画です。第1章は、映画の冒頭シーンのような映画的なトーンの仕上がりとなりました。「ビーチ・ハウスや、同じSub Pop所属アーティストのFather John Mistyといったアーティストは、アルバムを軸に音楽の構想を練っているんです」とStricklandは話します。いくつかの章に分けてリリースすることで「テーマに沿ったアルバム構成が出来上がるため、ビーチ・ハウスにとっても魅力的な作戦でした」
新しいトラックを次々とリリースし、Stricklandによると前作に比べ「オーディエンスは3倍に増加」していました。そのためビーチ・ハウスチームは、特定のオーディエンスに重点を置いてさまざまな楽曲を聴いてもらえるよう働きかける必要があったのです。ビーチ・ハウスが最新アルバムのリリース計画を開始するにあたり、Stricklandは最初の2章 (合計8曲) のリリース時にMarqueeを利用しました。Marqueeで、熱狂的ファンになる可能性のあるリスナーに能動的かつ意図的に再生してもらえるよう働きかけたのです。
今回のキャンペーンでは、2つのコアオーディエンスがターゲットに設定されました。1つ目は、過去6ヶ月間にビーチ・ハウスを積極的に再生していない離脱リスナー、2つ目は、過去6ヶ月間にビーチ・ハウスの音楽を積極的に再生したものの、ほかのリスナーと比べて再生回数が少ないカジュアルリスナーです。この両方のタイプのオーディエンスをターゲットにすることで、6ヶ月以上前にバイラルヒットを遂げた「Space Song」をきっかけにビーチ・ハウスの音楽を聴いたリスナーにリーチできる可能性が高まりました。「Marqueeの戦略の多くは、「Space Song」のオーディエンスをほかの楽曲や新曲に誘導するためのものでした」とStricklandは話します。
その結果、ビーチ・ハウスは、米国の離脱したリスナーに自分たちの旧作と新作を再度聴いてもらうことに成功しました。Marqueeを見た離脱したリスナーは、ニューリリースを1人あたり平均で8回も再生したのです。また、Marqueeリスナーの20%は、ほかのリリースについてもリスナー1人につき平均9回も再生しました。
カナダでは、カジュアルリスナーをターゲットに設定した結果、ニューリリースの継続聴取意向率が24%に達しました。これは、Marqueeリスナーの4人に1人がトラックを保存したか、個人のプレイリストに追加したことになります。さらに、同バンドのほかのリリースについても、リスナー1人あたり平均7回も再生していたのです。
Marqueeを使ったリスナーのリーチについて、Stricklandは「これほど便利なツールはない」と話します。「『ビーチ・ハウスの新曲が出ました』とスマートフォンに通知が届くんです。これならリリースを簡単にチェックして、新しい音楽を見つけることができます。これほどのツールがほかにあるかどうか、正直思い当たりません。さらにハロー効果によって、アーティストのほかの作品も注目され、キャンペーンでは予想以上のすばらしい結果を得られました」
ビーチ・ハウスのMarqueeキャンペーンの成功を受けて、StricklandとSub Popチームは、ほかのアーティストのニューリリースでもこの戦略を採用することにし、Marqueeの予算をなんと500%も拡大しました。「Father John Mistyのリリースでは、Marqueeの予算をさらに拡大しました」とStricklandは話します。「最初のMarqueeは3月の初めにリリースされるラジオシングル「Goodbye Mr. Blue」を中心に展開する予定です。その後のシングルについても、アルバムをリリースするまでMarqueeを使い続けると思います。ビーチ・ハウスの成功を受けて、Sub PopでのMarqueeの予算は今までよりも圧倒的に大きくなりました」
Marqueeを見たリスナーは、その他のリスナーと比べてほかのリリースを再生する可能性が3倍にものぼります。このハロー効果こそが、Sub Popが特に重視するポイントです。「私たちはアーティストの作品を誇りに思っています。ビーチ・ハウスやFather John Mistyが新曲を出す際には、リスナーに新たにファンになってほしい、そしてほかのアルバムも聴いてほしいと思うんです」とStricklandは話します。「アーティストのオーディエンスを増やすこと。これこそ、Sub Popの存在意義そのものです」
「 Once Twice Melody 」は、ビーチ・ハウスにとって初の快挙となるビルボードTop Album Salesチャートの1位を獲得し、全米のTop RockチャートとAlternative Albumsチャートでも1位を獲得しています。
Marqueeの始め方
Marqueeの継続的な改善に伴う最新情報をお伝えします。Marqueeが、米国、オーストラリア、英国のチームに属するすべての対象アーティストにご利用いただけるようになりました。詳しくは、「Marqueeの利用を開始する」のガイド、またはSpotify for Artistsのサイトをご覧ください。
キャンペーンでMarqueeを使ってターゲットに設定できるのは、ブラジル、フランス、ドイツ、メキシコ、英国、米国などの30以上のマーケットにいるオーディエンスです。ターゲットの設定は、対象となるニューリリースがある場合にSpotify for Artistsのダッシュボードから行えます。Marqueeでターゲットに設定できる国について詳しくは、こちらをご覧ください。チームの拠点が米国、オーストラリア、または英国にあるものの、[キャンペーン] タブが表示されない場合は、請求先の国を米国、オーストラリア、または英国に設定してください。チームがベータ版に追加されます。
Spotifyの現地の担当者によるサポートを受けながら上記のマーケットのオーディエンスをターゲットにするには、こちらから情報を送信してください。