Magic City Hippiesが最新アルバムのリリース前にMarquee、Canvas、さらにDiscovery Modeで立て続けに宣伝し、ファンを拡大した方法
マイアミ発のバンドは、Spotify for Artistsのマーケティングツールを活用してリスナーがプレリリースシングルを再生する可能性を4倍も向上させ、Discovery Modeの対象となる機能によってアルバムのリリース前にリスナーを3倍増加させることに成功しました。
マイアミ発の3人組のMagic City Hippiesは、2015年の結成以来、心地よいオルタナティブ・ファンクをリスナーに届けてきました。しかし、パンデミックがこれまでのやり方を革新するきっかけとなり、2作目のアルバム「 Water Your Garden 」では、新しいレコーディング方法を採用するとともに、入念な戦略を立てることで、これまでで最も多くのリスナーにリーチすることに成功したのです。
同アルバムは2021年、バンドメンバーのRobby Hunter、Pat Howard、John Coughlinが国内各地で別々に自粛生活を送っていたときに作曲とレコーディングが行われました。マネージャーのBrad Desmondは、アルバムのタイトルには、11曲の収録曲に共通する「自分を大切にし、愛する人を大切にする」というテーマが反映されていると話します。「このテーマは、彼らがパンデミック前の生活で欠けていると感じていたことなんです」
「 Water Your Garden 」のリリースの計画を始めたころ、Magic City HippiesはSpotifyに約65万人の月間リスナーを持ち、「 Modern Animal 」でデビューしてから2年が経過していました。そのため、「 Water Your Garden 」リリース戦略では、既存のリスナーを取り戻すことと、新しいリスナーにリーチすることに焦点が当てられました。そこで、フルアルバムのリリースに先駆け、9ヶ月間にわたりシングルをリリースすることが計画されました。そうすることで、認知度に加え、新しいアルバムに対するファンベースの期待を高めたのです。
「アルバムをリリースする機会はそれほど多くありません」とDesmondは話します。「リスナーになる可能性のある人を1人も逃したくはありません。その人はチケットを購入したり、10人の友達に楽曲をすすめたりしてくれるかもしれないからです」
「リスナーができるだけ簡単に新曲を聴けるようにする」という目標のもと、同バンドはMarquee、Canvas、Discovery Modeなどの複数のSpotify for Artistsツールを活用したとDesmondは話します。これらのツールを多面的に長期に使うことで、リリース前にオーディエンスの数を増やし、リリースの瞬間を盛り上げ、リリース後も勢いを持続することができました。
「オーディエンスはSpotifyにいます。Spotifyがきっかけでリスナーになってくれるからです」とDesmondは話します。「私たちは、ファンとのコミュニケーションを主にSpotifyで取っています。ですから、戦略ではSpotifyという環境で、利用できるマーケティングツールをすべて活用し、可能な限りベストな体験を提供することを常に優先して考えています」
MarqueeとCanvasを使った戦略では、2022年1月のアルバムリリースの数ヶ月前からシングルをリリースすることで、リスナーのアルバムへの期待値を高めました。また、Discovery Modeを使った戦略では、アルバムリリースの直前と直後、さらにはツアーの直前にオーディエンスをさらに拡大する取り組みを行いました。
記事の続きを読んで、各ツールを具体的にどのように使って目標を大幅に達成したかをチェックしましょう。
Marqueeで、アルバムのリリース前にリスナーのエンゲージメントを高める
Marqueeを見たユーザーは、ほかのユーザーよりも4倍高い確率でシングルを再生しました。
「 Water Your Garden 」のプレリリースシングルの第1弾「Diamond」は、アルバムリリースの9ヶ月前である2021年4月に公開されました。前回のアルバムリリースから2年が経過していたため、Magic City HippiesのチームはMarqueeを使って、離脱したリスナーをターゲットにすることにしました。その理由について、バンドのディストリビューターCreate Music Groupで有料メディア・デジタルマーケティングリードを務めるIona Castaは、「ファンともう一度つながることが私たちの目標だったため、Marqueeはリリース戦略を実現するのにぴったりのツールでした」と話します。Marqueeにより、離脱したリスナーの25%が、半年以上ぶりに同バンドをアクティブに再生しました。「この結果を受けて、その後すべてのリリースでこのツールを活用することにしました」
その後、同バンドは年末にかけてさらに「Water Your Garden」「Queen」「High Beams」「Ghost on the Mend」「Champagne on the Rider」の5つのシングルをリリースし、そのすべてについてMarqueeでプロモーションを実施しました。同チームでは、これがセクシーな内輪ネタにもなりました。「Bradと私は、Marqueeをアルバムの『前戯』と呼んでいたんです」と、Create Music Groupのプロジェクトマネージャー、Anna Antoniadisは話します。Marqueeを見た後にアルバムのプレリリースシングルを再生したユーザーの平均24%は、シングルを個人のライブラリに保存し、今後も再生できるようにしました。
「Marqueeはアプリ内で表示されるため、再生数を増やすには最も効果的な戦略です」とCastaは話します。「Marqueeなら、ファンはその場で直接音楽を再生して保存し、後からもう一度再生できるんです。ほかの広告では、コンバージョン率を上げようと最適化しても、楽曲の再生と保存に手間がかかってしまいます」
Magic City Hippiesに最近興味を持ったリスナーに加え、同バンドのカジュアルリスナー、さらには離脱したリスナーをMarqueeでターゲットにしたことで、「 Water Your Garden 」に対するリスナーの認知度はリリース前にすでに50%以上に達していました。
Desmondは次のように話します。「私たちにとって最大の課題は、ファンベース全体に私たちの活動を知ってもらうことだったため、Marqueeはまさにそれにぴったりのツールでした」
Canvasでビジュアルをパワーアップ
CanvasはSpotify for Artistsが提供する、短いループ動画を公開できるツールです。Magic City HippiesはこのCanvasを包括的に活用することで、Marqueeをクリックしたリスナーに対し、同バンドのクリエイティブな世界観を垣間見せることができました。同バンドは「 Water Your Garden 」のシングルごとにビデオを撮影し、それぞれのCanvasを作成しました。「Canvasを使うことで、Spotifyプラットフォームでビジュアルを取り入れ、さらにディープで没入感のあるリスニング体験をファンに届けることができました」とDesmondは話します。「Canvasについて私がもう一つ気に入っていることは、CanvasをInstagramストーリーズにシェアすることで、エンゲージメントを大いに高められる点です。このアクションは私たちが大いに注目していて、ファンにもシェアするよう後押ししているんです」
「あるときは、ミュージックビデオがおそらく大好きで、楽曲を聴こうとSpotifyにアクセスしたファンのために、Bロールの一部を使ってちょっとした宝探しゲームを用意しました」とDesmondは話します。「シングル以外のトラックでは、ほかのビデオのBロールを多めに使いました。あるビデオでは、花のスローモーションのショットをたくさん撮ってもらうようディレクターにお願いしました。これが、まさにアルバムタイトルの象徴だったんです」別のビデオのBロールは、別の楽曲で「サイケデリックなビジュアライザーのような」Canvasに生まれ変わりました。
Discovery Modeにより、リーチを拡大
Discovery Modeの対象となる機能を活用することにより、Magic City Hippiesのリスナーは100を超えるマーケットで3倍以上に達しました。そのうち31%は、今まで同バンドの音楽を再生したことがないリスナーです。
アルバムリリースのツアーの開始を1ヶ月後に控えた12月、同チームはDiscovery Modeを活用することで新規リスナーへのリーチを図りました。Discovery Modeは、オーディエンスの音楽発掘の意欲が最も高まっているタイミングで音楽のリーチを拡大できる、アーティスト向けのマーケティングツールです。ディストリビューターは、Discovery Modeを使うことで、パーソナライズされた一部のセッションで優先的にアピールしたい音楽を選択できます。これにより、新しい音楽を探しているリスナーに楽曲を聴いてもらえる可能性が高まります。
「そのときは単純に『できるだけたくさんの人にリーチしてみよう』ということになったんです。特に12月は売り上げが落ち込む月と言われていますから」とDesmondは話します。それにもかかわらず、Discovery Modeの対象となる機能でリスナーが3倍に増加し、うち31%のリスナーは今まで同バンドの音楽を再生したことがないリスナーでした。これについて、Desmondは「予想以上の結果でした」と振り返ります。
同チームが最初に実感した効果は、Discovery Modeの利用にあたって選択した楽曲のうち、「Ghost on the Mend」と「Diamond」の2曲についてでした。Discovery Modeの対象となる機能での両曲の再生数が、前月と比べて2倍になったのです。「たくさんのデータを見ると、合点がいきました」とAntoniadisは話します。
「最初は『Queen』の方がヒットすると思ったんです。ほかより短くて取っつきやすい楽曲なので」とDesmondは話します。「『Diamond』と『Ghost on the Mend』はとてもダイナミックな楽曲なので驚きでしたが、うれしい結果でした。私たちとしては、インパクトを感じられたのがうれしかったです。バックエンドデータを見るのは楽しいことですが、特にDiscovery Modeでは本当に興味深いインサイトを得ることができました」
全体として、同バンドはDiscovery Modeについて、ユーザーの好みを理解するうえで強力なツールだと感じています。「アルゴリズムに基づいたプレイリストにリスナーの好みが反映されるからです」と彼女は話します。「ラジオでたまたま聴いた楽曲を気に入って、プレイリストに追加して、それをずっと聴いているというような流れのため、何が楽曲の再生につながっているかを、ほかとは違う方法で見るのが興味深いです」
Desmondは、「独立系アーティストとしては、このようなオーディエンスインサイトを入手できるのが本当にありがたいです」と話します。
初日もそれ以降もリリースを盛り上げる
同バンドはDiscovery Modeでオーディエンスを拡大したのち、Marqueeでアルバム「 Water Your Garden 」をもう一度宣伝することにしました。この勢いをさらに加速させるため、彼らは最近同バンドに興味を持ったリスナーをターゲットにしたMarqueeキャンペーンを計画しました。過去28日間に同バンドの音楽をアクティブに再生したリスナーをターゲットにしたのです。
これにより、リスナー1人あたりのニューリリースの再生数は平均13.5回に達しました。これは、アルバム全体のリスナー1人あたりの再生数よりも3倍高い数値です。
「このツールでいかに確実にコンバージョンを達成できるかがわかると思います。宣伝は、コンバージョンがすべてですから」とAntoniadisは話します。「InstagramやFacebookでのクリック数がどれほど高くても、ユーザーが実際に楽曲を再生するとは限りません。データウォッチャーの人間としては、実際のコンバージョンが再生数に反映されているのを確認できるのがうれしいです」
Marqueeにより、このアルバムは過去最高の継続聴取意向率も達成し、Marqueeリスナーの30%がアルバムの楽曲を個人のライブラリに保存したか、個人のプレイリストに追加しました。また、Marqueeリスナーの20%は2019年の「 Modern Animal 」など、同バンドの過去のリリースも再生しています。
Desmondは、アルバムリリースから数ヶ月が経った後も「ファンがリリースを聴き続けてくれている」ことを受け、チームとしてDiscovery Modeをもう一度活用し、「 Water Your Garden 」のうち前回の対象外だった楽曲を宣伝することにしたと言います。
「私の大きな目標の1つ、特にアルバムのリリースでの目標は、リリースの勢いをリリース日以降も持続させることです」とAntoniadisは補足します。「リリースは当日だけで終わるわけではありません。さまざまな方法で、リリースの盛り上がりを維持できます。Discovery Modeはまさにそのためのツールなんです」
「今回は、今までよりも大規模でプロフェッショナルなリリースとなりました」とDesmondは話します。「私たちはいつも、リスナー獲得の機会を逃すことがないように気を付けていますが、これらの3つのツールのおかげで、今までより大きな成果を達成できたと思います」
2022年のツアーを目前に控え、9月にはFirefly Music Festivalへの参加も決まっているMagic City Hippies。同リリースの成功をバネに、今後も活動の場を広げていく予定です。「彼らは、何年も一生懸命に音楽と向き合い、本当に彼ららしいサウンドをスタジオで生み出してきました。そして、それをライブステージでも見事に演奏できるんです」とDesmondは話します。
Spotify for Artistsは、あなたがファンベースを拡大し、目標を達成していけるようサポートします。